子供の幼少期の過ごし方は子供の将来を楽にしたり、また逆にしたりします。幼少期に経験したものや覚えたものは「三つ子の魂百まで」とよく言われるように、将来に渡って影響するからです。学力だけでなく、子供の人間力を上げる礎(いしづえ)を幼少期に育みましょう。子供の就職試験まで見守ってきて分かったことをお伝えしていきたいと思います。
1. コミュニケーション能力を育てる
学校の勉強は数字で成績がつきます。明確でわかりやすく、反面、親は子供の成績=自分の成績のような気分になって躍起になってしまいますよね。一方でコミュニケーション能力については成績はつきませんし、学生時代は優劣があやふやなまま過ごしてしまいます。親もなんとなくわかっていながらも、「性格だから」と流してしまうことも多いのではないでしょうか。
しかしこの能力は学生時代最後の難関である、就職採用試験の際、その優劣で合否が明確に分かれます。同じ大学を出ても、数えきれないほど内定をもらう子と内定のないままの子が出てきてしまうのです。就職試験はもともと不採用の率が高いのですが、不採用が続くことはまるで人格を否定されてしまうように感じ、本人はもちろん、家族もつらい思いをします。さらにその後仕事をする人生の方がずっと長いのですから、仕事にも不可欠なコミュニケーション能力がいかに大切な能力かがわかります。
まだ幼少期のお子様をお持ちの方に就職採用試験の話をするのは先すぎるかもしれません。でも今の採用試験は面接のようになんとかごまかせるものではなくなってきていることを知ってほしいです。インターンシップ=職業体験がそれです。名ばかりの職業体験で、現実は集団採用面接のようなものなのです。集団ディスカッションなどで、コミュニケーション能力やリーダーシップ、独創性などあらゆる面で受験者の能力が丸裸にされてしまいます。インターンシップは丸一日や、何日も合宿で行う有名企業もあります。その他、企業説明会や座談会、新製品説明会などあの手この手で優秀な学生を推し量り確保に手を尽くしてきます。 上辺だけの対策ではどうにもならない試験になっています。今でこの状態ですので、あなたのお子様の頃はいったいどうなっているのでしょうか。本物のコミュニケーション能力・人間力をつけていきましょう。
幼少期のコミュニケーション能力を育てるには、公園で知らない子や年齢の違う子と遊ぶことを強くおすすめします。
例えば公園で、となりで遊んでいる子の「赤い車」が気になって仕方ない時、「貸して」と頼んでも大抵「ダメぼくの」と断られます。子供は借りる手段を一生懸命考えて、「じゃあぼくの青い飛行機貸してあげる」ともちかけます(うまくいかなくても、親が赤い車貸してあげて、とかあとで買ってあげるから我慢しなさいはNG、アドバイスするなら自分のおもちゃ貸してあげたら、ですね)、するととなりの子もよその子の玩具に興味津々ですから貸してもらえるんです。そして「赤い車、かっこいいね」と言うと、「飛行機もすごいね」とニッコリ、貸してあげれば貸してもらえる、ほめればほめてもらえて楽しいというコミュニケーションの一歩が踏み出されます。
一方で習い事では、先生にあのおもちゃ貸してと言えば、ほとんど取ってくれて貸してくれますよね。何も苦労も工夫も生まれません。習い事は先生にとって生徒さんは月謝を運んでくれるある意味お客様なのでコミュニケーション能力はつかないんです。色々な経験をさせることはもちろん大切ですが、習い事ばかりで、公園で遊ぶ暇さえないというのは考え物です。特に最初の子供は兄弟もなく大人だけに囲まれているのですから公園遊びは多めにすることをおすすめします。今後の幼稚園や小学校、中学校でのコミュニケーションが円滑になりますから。
また公園では年上の子供や乱暴な子もいます。押されたり、砂場で作った山を壊されたり、おもちゃを取り上げられたりの不条理なことにも遭遇します。危険のないかぎり、ぐっとこらえて見守りましょう。不条理なことも、かわしたり、耐性を少しずつつけることが大切です。部活動や社会人で不条理なことはつきものですし、忍耐力や危険回避、時には長い物には巻かれろと必要な能力が育まれます。部活や会社をすぐに辞めてしまう子にしたくないですよね。
逆にかばってくれたり、優しくしてくれる子もたくさんいて嬉しい体験もいっぱいすると思います。
小学校高学年から中学くらいまで、お友達関係が非常に難しく、キツイ時期があります。特に一人っ子さんや大人の中で育った子は立ち回りがうまくいかず、つらいことにならないよう、大人抜きで(先生の目は届きませんから)子供同士のコミュニケーションをうまくとれるように幼少期から慣れていくのが大切です。
2. 集中する時間を大切にする
子供が遊びで集中している時は声掛けを控え、多少食事時間や用事がずれ込んでも見守りましょう。もともと子供は大人ほど集中力がありません。その子供が何かに夢中になっていることはとても貴重な時と考え大切にしたいものです。集中力をつけることは将来あらゆる面で大きな力を発揮しますので、ぜひ大きく育てたいですよね。
集中力をつける遊び
つみき・ブロック・パズル・ドミノ倒し・ピタゴラ装置・折り紙・お絵描き・図鑑絵本読み・見立て遊びなど
集中力がない?お子様は
うちの子集中力がない!と思われるおうちでは、まず良質な十分な睡眠とバランスの取れた食事がとれているか確認しましょう。後述しますが、睡眠は心身の発育に大きく影響しますので重要です。
その上で、まずおうちの方が一緒になって夢中になって遊んでみてください。つみきとかブロックとか結構楽しいですよ。今日はお城を作ろうとか、ロボットを作ろうなどお題を出したり。つみきの高さ競争で親子バトルしたり。折り紙の本も一冊あると楽しめます。ジグソーパズル完成の達成感は感涙ものです。テレビやスマホアプリやユーチューブ(受け身の内容)に目を奪われて、遊ぶ楽しさ(創造的内容)を知らないだけかも知れません。
子供は親が本気で楽しんでいるものに興味を示します。おうちの方も本気モードで遊びましょう。
3. 早寝をする習慣をつける
早寝の習慣をつけ、睡眠をたっぷりとることは、ホルモンの分泌で発育と共に精神を安定させ、休息をとることで元気や活力が沸きます。ご自身も経験があると思いますが、寝不足の疲れた体では頭を使う気になれませんし、やる気なくダラダラしたくなりますよね。子供をこのような状況に置くことに一つのプラスもありません。
うちの子なかなか寝ない! 時は
外遊び・公園遊びを夕方ではなく早い時間にたくさんしましょう。体が疲れていれば、夕飯食べて、お風呂に入ったら眠くなりますよ。早く寝たら翌日はキチンと早く起こしてまた外遊びしましょう。その繰り返しで習慣化されます。幼稚園や学校で朝キチンと起きて、朝ご飯をしっかり食べて出かけられるようになります。
もう一つ大きなメリット、子供が早く寝てくれると親も子供と離れたゆっくりした時間を持つことができます。愛しいわが子でも離れてのんびりする時間ほしいですよね。お茶を飲んだり、好きなゲームをしたりテレビやアプリを楽しんで充足時間を過ごしましょう。そのような時間が大変な子育てのイライラを少し解消させてまた明日へ進めますね。
4. 絵本をたくさん読む
将来勉強で苦労させたくないとお考えなら、できるだけ毎日絵本を読むことをおすすめします。絵本を毎日読むのはかなり大変だと思いますが、将来、成績やら受験やらで、イライラしたり塾で大枚はたいたり(高校生の個別指導だと3000円~5000円/時間もするんですよ)しないための投資と思って頑張りましょう。
絵本→本→教科書と推移していく学習の第一歩が絵本です。
絵本を読むことによって語彙数が増え、同時に読むスピードと読解力がつきます。スピードと読解力がつくことによって本を読むこと、ひいては、教科書を読むことがラクにスムーズになります。学校の勉強が楽になるのです。反対に日本語の理解力が低いとあらゆる教科に影響します。小学校高学年になると問題の意味すら理解ができないという悪循環に陥ってしまうのです。できれば楽しく、できないとどんどんイヤになっていくのが勉強です。
読み聞かせは学習へのカギと思って、絵本を読んであげましょう。
5. 音楽・英語の発音など音に関すること
生まれてからある一定の期間、耳にしなかった音は聞き分けがしにくくなると言われています。音楽における絶対音感や言語には「臨界期」があり、よく事例として挙げられるのが「狼に育てられたカマラ」の話です。7歳まで狼に育てられたカマラはジャングルで発見されその後言葉の教育を受けても話せるようにならなかったというエピソードです。残念ながらこの話はデマ説が濃厚で「臨界期」の具体的なデータとなりません。
しかし、小さい時の方が音を聞き取る能力に長けていることは間違いはありません。実際子供の時外国で育った子はその国の言葉を話せるようになり、中学から英語を始めた日本の学生は英会話に四苦八苦し、大人になってさらに苦労して勉強してもなかなか話せるようにならないのが現状です(私もその一人) 絶対音感を身に付けている子は幼少期に音楽に対するトレーニングを受けていることが多いようです。
ですので、わが子を音楽家にしたい方は絶対音感のトレーニングを、英語を聞き取り、話せるようにしたい方は英語のトレーニングをすると良いということになります。
英語の場合、英語にあって日本語にない発音がたくさんあります。代表的なのが「R」と「L」の違いで、例を挙げますと「Right・Light」日本語読みだとどちらも「ライト」ですが、良ーく聞くと英語には微妙な差があり、大人の日本人には聞き分け・言い分けが困難きわまりないです。ところが幼少期にはこの違いをすんなりと理解できるのです。このような聞き分けのできることを「英語の耳」を持つと言われ、幼少期に習得すると、一旦英語から離れても、また英語を始めると思い出すことが多いようです。
英語は外国人との交流にはもちろん、受験や社会人になってからのスキルとして大変役に立ちます。小学生から英語が科目となり、大学受験ではほとんどが英語は必須ですし、日本の優良企業は大半がグローバルに展開していますから英語ができることは大きなアドバンテージになります。幼少期に英語に親しみ、「英語の耳」を習得し、今後の英語学習をラクにすることは大きなメリットだと思います。 早期教育なんてと難しく考えず、英語の音に触れる時間をたくさん持つくらいの軽い気持ちで英語を始めるといいかもしれませんね。